Beyerdynamic X1N 整備
Beyerdynamic X1Nのグリルを外してダイヤフラム(振動板)の清掃とウレタンフィルターの設置を行いました。
Beyerdynamic X1はグリル下にウレタンフィルターが設置されているのですが、50年前のマイクですので朽ちていることがほとんどです。
マイクカプセルのフィルターやマイクケースのクッション材に使われているウレタンが経年で朽ちた場合、そのままにしておくと変質して粘着質になり、また、酸性を帯びるので金属部がサビるようになります。
朽ちたウレタンは見付け次第即廃棄が基本です。
そのままマイクと一緒にしておくとマイクがボロボロになります。
というわけで、お掃除の時間です。
変質した粘着質ウレタンはとにかく除去が大変です。
清掃途中の写真(50%完了)↓
中央にシールのはがし跡のようにウレタンカスが付いて黒くなっているのが分かるでしょうか。
これでも半分以上除去した状態です。
このような事例はウレタンをフィルターやサスペンション代わりに使用したマイクでよく見られます。
特に一番最悪なケースの遭遇率が多いのがSennheiser MD409の後期型です。
現行のe609と同じ形状のマイクでカプセルの支持も同様にウレタンを使用しています。
Electro Voice 664もウレタン問題に悩まされますが、こちらはカプセルにウレタンが付着しないようにクロスでカバーされています。
どうしてダイヤフラムにウレタンカスが付着したら駄目なのか。
見た目の問題もあります。
しかし、それ以上にダイヤフラムに異物が付着すると音が変わるという大きな問題があります。
ダイヤフラムが重くなるんですね。
それで、反応速度が遅くなることで音が変わるというメカニズムです。
10時間かけてようやく清掃完了しました。
清掃完了↓
見えない部分なのでそのままでも100人中99人は多分音の違いに気付かないのですが、こだわってみました。